痛くない注射針、ヒントは「蚊」だそうです!
『蚊に血を吸われている時、なぜヒトは痛みを感じないのだろう?』
この蚊をヒントにすれば、痛くない注射針ができるのではないか?
13年前、そう考えた関西大学システム理工学部の青柳教授は研究を始めたそうです。
そのために必要なのはまず蚊を知ること!ということで......
1秒間に1000枚撮影できる高速度カメラと、観察対象をそのまま100倍に拡大できるレンズを組み合わせた装置で、蚊が刺す瞬間を観察されたそうです。
その結果、私たちが蚊の針と考えているものは7本あり、そのうち3本が重要な役割を果たしていることが分かったのだそうです。
3本の針の大きさは、真ん中が直径0・03ミリで、両端が0・015ミリ。合わせて0・1ミリもありません。
髪の毛の太さが0・1ミリ程度なので、とても細いことが分かりますね!
両端の針にはノコギリのようなギザギザ。
「針が皮膚を刺したとき、ギザギザの部分しか皮膚に触れない。抵抗を小さくするので、すっと刺さりやすい」と青柳教授が説明しています。
この3本が連動しながら、皮膚に刺さっているのだそうです。
素人の私は、細い針を1本だけ刺した方が痛くないのでは?
そんな疑問が湧いてきてしまいます。
「確かに細ければ細いほど、人が痛みを感じる痛点を避けやすくなる」と青柳教授。
「でも、単純に細くするだけでは、折れやすくなってしまいます」。
青柳教授は3本の針を試作。蚊と同じように3本を出し入れすると、1本の針を単純に刺すよりも、少ない力で刺せることが分かったそうです。
細い針を持つだけでなく、複雑な動きで相手へのダメージを少なくしているのが蚊だというわけです!
このように、生物の仕組みをヒントに、製品や技術を開発することを「生態模倣」と言うそうです。
生態模倣といえば、4年前の北京五輪では、サメの肌に似せた構造の競泳水着が登場し、話題にもなりましたね!
科学者が自然から発明のヒントを得るって言うのは凄いですね!
現在、青柳教授は試作した真ん中の針から、血液を吸い上げることに成功しているそうです。
ただ、「本当に痛くない針をつくるのは容易ではない」と言います。
針が細いと、薬剤の注入にも時間がかかります。
「5年以内に、蚊と同じような3本の痛くない針を開発できれば」と力を込めてらっしゃるそうです。
当院も痛くない注射を目指してどこよりも細い注射針を使用しています!
痛い注射はみんな嫌ですよね!青柳教授の針の実用化が早期実現することを願っています。
痛くない注射針、ヒントは「蚊」
2012.09.28更新
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