クリニック通信ブログ

2013.05.21更新

1.頭痛の症例①
①来院までの経緯 (39歳 男性、頭痛歴15年)

仕事で長時間パソコン作業を行う。20代から頭が締め付けられるような痛みや目の奥の痛みに悩まされ、鎮痛剤で治っていたが、徐々に効き目が悪くなり薬の量や頻度が増え、最近では鎮痛剤が効かなくなった毎日酷い頭痛が起こり仕事にならないので、かわたペインクリニックが痛み専門クリニックと知り来院された。
②治療経過
肩こりや眼精疲労などで首や肩の筋肉が緊張し血流が滞り老廃物が痛みの神経を刺激して発症する緊張型頭痛のケースでらしたので、後頚部にあるトリガーポイント(痛みの引き金となる場所、多くはツボと一致)に神経ブロック注射を行い、血流を改善し、老廃物や発痛物質を洗い流すことで症状が大きく緩和されました。又、神経ブロック注射により鎮痛剤の服用量が減り鎮痛剤乱用による頭痛が軽減され喜ばれた
③考察
別名肩こり頭痛とも言われる緊張型頭痛は日本人の頭痛の約半数を占めます。緊張型頭痛の正しい治療を行わず鎮痛剤に頼り飲みすぎることで、それが原因で新たに薬物乱用頭痛に至っている方が多いです。

2.頭痛の症例②
①来院までの経緯 (42歳 女性、頭痛歴25年)
十代の頃から、頭の締め付け感や重さがあり、肩こりからくる頭痛と言われ、市販の鎮痛剤で対応されていた。しかし、最近では鎮痛剤も効かず、月に1~2回は動くとガンガンした頭痛や吐き気に悩まされ、そうなると何も手につかない状態なので、見かねたご家族が調べて、当院に来院された。
②治療経過
毎日起こる緊張型頭痛に加え、年数を経て、月に数回起こる片頭痛が合併したケースです。頭が締め付けられる特徴のある緊張型頭痛に対して、市販の痛み止めのみで対応されていたので、後頚部の筋肉の血流を改善するトリガーポイント注射や上半身の血流や自律神経を正常にする星状神経節ブロックを行い、日常の頭痛が軽減したと喜んで頂いた。また、動くとガンガンする痛みや吐き気が特徴の片頭痛を合併されていたので、片頭痛の薬と予防薬を処方し発作が起きても怖くなくなったと言って頂いています。
③考察
頭痛が酷くなった原因は①緊張型頭痛の治療として鎮痛剤のみで対応したこと②偏頭痛の合併に気づかずその治療をしなかったことが考えられます。どのタイプの頭痛か、その頭痛の正しい治療は何か、合併症はないか、頭痛のタイプが年数を経て変化してないか、等頭痛の正しい診断と治療を行うことが出来る専門医にかかることが非常に重要です。

3.抗うつ薬のお話
心療内科でよく処方するお薬の一つに、抗うつ薬があります。現在使用されている抗うつ薬には、①三環系抗うつ薬、②四環系抗うつ薬、③SSRI、④SNRI、⑤NaSSA、などがあります。以下に簡単にご紹介します。

①三環系抗うつ薬
古くから使用されている抗うつ薬になります。口の渇きや便秘などの副作用がしばしば認められますが、効果は強く現在でもうつの治療薬として使用されています。また痛みの治療薬としても強い効果があります。

②SSRI
うつの治療薬として使用される他に、パニック障害、強迫性障害、社交不安障害などいろいろな不安障害の治療にも使用されます。

③四環系抗うつ薬
うつ症状の改善に加え、眠りを良くする特徴があり、熟眠障害の治療にも使用されます。

④SNRI
うつ症状の改善に加え、意欲の改善にも効果が強いとされています。痛みの治療にも使用します。

⑤NaSSA
うつ症状の改善に加え、睡眠を取りやすくする特徴があります。不眠を合併しているうつの治療によく用いられます。

上記のように、抗うつ薬のそれぞれの特徴を生かすことによって、単にうつの治療だけでなく、不眠や不安障害など他の精神症状の治療や、痛みの治療にも幅広く活用することができます。


投稿者: 医療法人良仁会 かわたペインクリニック

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