顔の痛み・三叉神経痛

歯・口・顔・舌の痛み

原因不明の顔の痛みに悩まされたことはありませんか?原因が明確な顔面痛は症状に応じた治療を行えば完治しますが、レントゲンや検査に異常がないのに、じんじんじわじわする歯痛が一日中、長期に続く非定型歯痛、舌の先や側縁にヒリヒリする痛みが続く舌痛症、舌・唇等にじりじり焼けるような痛みが続く口腔灼熱症候群、原因不明の顔面痛が続く非定型顔面痛等、これらの原因不明の顔面痛は顔に関わる診療科が多いため病院を転々とし、痛みをコントロールしょうと様々な歯科治療や手術が、行われ、正確な診断をしてくれる専門医に辿り着くまで平均5年かかるというデータもあります。
又、検査をしても異常がないため、「気のせい」とか「大げさ」と片付けられることが多く、ますます精神的に追い込まれていきます。

歯・口・顔・舌の痛みの原因

これら「原因不明の痛み」は、ここ10年ほどの神経科学や脳科学の急速な進歩によって、脳の中の痛みをコントロールしたり認知したりするシステムに変調がおこって、脳の中で痛みが増幅されたり、勝手に作り出されているのだということがわかってきました。これら原因不明の慢性疼痛に対して、いわゆる痛み止め(鎮痛薬)は末梢神経に作用する薬であるため、脳の中でおこる痛みには効きません。安易に鎮痛薬に頼るとさらなる副作用を招く場合もありますので、注意が必要です。

歯・口・顔・舌の痛みの治療

薬物療法

これら脳の中のシステム変調でおきた痛みに対して、脳に働きかける薬である「抗うつ薬・抗てんかん薬・抗不安薬」が高い効果を発揮します。「抗うつ薬・抗てんかん薬・抗不安薬」は、一見痛みとは関係なさそうな名称で多くは「精神科で使われている薬」であるため、患者様によっては「自分はうつ病でないから」と服用に抵抗を示し勝手に服用をやめる方もいますが「抗うつ薬・抗てんかん薬・抗不安薬」により7割強の痛みが消失したとのデータも出ていますので、慢性疼痛にお悩みの方は専門医による処方をお勧めします。

心理療法

一日中、痛みのことを考え続けている場合は、いくら薬を服用しても意識が痛みに集中し、神経をさらに刺激してなかなか痛みが改善しないため、痛みから意識をそらせる認知行動療法などの心理療法的治療が必要です。

認知行動療法

「どんな時に痛んだり不安になったりしてその時どう考えたか」、「どんな時に調子よくてその時どう考えたか」など、認知(ものごとの考え方)の歪みを修正して合理的な考え方が出来るように練習することで不安や痛みを軽減します。かたよった思考パターンを正しくしていく治療法です。悲観的思考パターンを健全な前向き思考パターンと比較し、考え方の多様性を知り楽観的思考に傾くように導きます。

遠絡療法(ENRAC療法)

体の二点を同時に押すことにより、元のきれいな生体の流れを取り戻し、人間が本来持つ治癒力を有効に引き出します。生体の流れを良くすることで、身体の痛み・重み・しびれを取り除く治療法です。また、自律神経のバランスを調整し、不定愁訴を改善します。

無血刺絡療法(シラク療法)

痛みとは交感神経が害をもたらしていることが多いため、反対の作用を持つ副交感神経を刺激することにより、交感神経の痛みを軽減します。

神経ブロック療法・理学療法

これら内服薬心療内科的アプローチでも痛みが改善しない場合は、星状神経節ブロックレーザー照射、漢方薬により鎮痛効果が期待できます。

頚部神経節ブロック(星状神経節ブロック・上頚神経節ブロック)療法

頚部に3ヶ所存在する神経節のどれかに局所麻酔薬を注射することで、脳動脈から各脳神経にいたる多くの血管を拡張させる作用があります。痛み信号の脳への伝達を抑え、上半身の血流や自律神経を正常にすることで、歯・口・顔・舌痛を緩和する効果があります。

星状神経節ブロック

頚部の一番下の神経節である星状神経節に注射するのが星状神経節ブロックで、特に、頭・顔・肩・上肢・胸部・心臓・肺・気管支などの血行を改善し痛みを和らげます。

上頚神経節ブロック

最も頭側にある神経節の上頚神経節に注射するのが上頚神経節ブロックで、特に顔・頭部の血流を改善し痛みを和らげます。

レーザー治療器

当院のレーザー治療器は、痛みを緩和するレーザーの治療器としては最高出力で、短時間で高い効果が出せます。レーザー光が血管や神経に作用し、発痛物質を抑制することで、疼痛を緩和します。頚部神経ブロック(星状神経節ブロックや上頚神経ブロック)と近似の効果があり、血流を改善し、神経を正常に戻す作用があり、治癒力や免疫力を高めます。痛みを伴わず、副作用のない安全な治療器です。
※当院では、ペインクリニックと心療内科が連携し、これら全ての心身両面からの治療を行うことが可能です。痛みを我慢せず、ご来院下さい。

「歯・口・顔・舌の痛み」の症例1

1来院までの経緯 (39歳 女性)

4年前歯の外科手術を行い、その後歯痛と顔面痛が出現するようになった。歯科で治療や抜歯を行うが歯科治療は全て無効で口腔外科でもレントゲンなど異常なく鎮痛剤も効果なかった。顔面痛は持続性で時折非常に憎悪し睡眠も不良で家族にも職場にも理解されず悩んで来院された。

2治療経過

長年病院を転々とし病名もわからず不安でいたが、痛みの原因が歯ではなく、脳内セロトニン系神経の機能不全による痛み感覚の調節不可が原因の「非定型顔面痛」と診断が確定するとひとまず安心された。セロトニン系神経を調整する抗うつ薬による薬物療法と脳内視床下部機能を正常にする星状神経節ブロック療法を行い、今までの疼痛が嘘のように消失し、当たり前でなかった普通の生活がやっと出来ると喜んで頂けた。

3考察

 非定型顔面痛は歯科治療等をきっかけに突発的な歯痛顔面痛が生じる疾患です。顔面痛の約3割の方が非定型顔面痛であるという報告もあり珍しい病気ではありませんが、検査を繰り返しても異常がないため、痛みをコントロールするのに医療機関を転々とし、正しい診断を行う専門医に辿り着くまで平均5~6年かかると言われています。

「歯・口・顔・舌の痛み」の症例2

1来院までの経緯 (45歳 女性)

3年前、突然、舌先にヒリヒリとした火傷のような痛みが発生した。舌や歯や口腔を検査しても舌痛の原因となる炎症や腫れは見つからず、血液検査等も異常なかった。口内炎の軟膏や痛み止めやビタミン剤を服用してもよくならず、一日中舌の痛みが気になりイライラして集中できず、複数の病院を経て、ホームページで当院を知り来院された。

2治療経過

舌痛症に最も有効な抗うつ薬を中心とした薬物療法を行いながら、舌痛以外に肩こりや不眠の合併症状があるため、自律神経の機能を正常にする星状神経節ブロック治療を行いました。今では舌の痛みはもちろん肩こりや不眠も気にならなくなったと喜んで頂き、又当院は抗うつ薬ブロック療法を同時に行えるペインクリニックと心療内科が併設する数少ないクリニックなので助かると言って頂けています。

3考察

 抗うつ薬は脳内セロトニン神経の情報伝達を促進させ舌痛症の原因である痛み回路の混線を正常化させます。残念ながら「うつの薬」といった偏見が根強く処方に抵抗のある方がいますが舌痛症を治すために抗うつ薬が必要なのであり、うつ病と診断し抗うつ薬を処方するのではないことをご理解頂きたいです。

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