腰痛(腰椎椎間関節症・脊柱管狭窄症・坐骨神経痛・股関節痛等)

腰痛

腰痛は『立って歩く人間の宿命』と言われ、高齢化社会の昨今さらに増加傾向にあり、わが国だけでも腰痛人口3000万(4人に一人が腰痛)と言われます。
よくみられる腰痛には、次のようなものがあります。
・仙腸関節症⇒骨盤のゆがみが原因でおこる腰痛
・腰部脊柱管狭窄症⇒神経を入れている管が狭くなり神経を圧迫して起こる腰痛
・変形性脊椎症⇒骨トゲ(骨刺)が神経を圧迫し炎症を起こす腰痛、高齢者に多い
・椎間板ヘルニア⇒髄核が飛び出して神経を圧迫します、働き盛りの男性に多い
・骨粗鬆症による腰痛⇒骨量が減って弱くもろくなり起こる腰痛、年輩の女性に多い
・慢性腰痛(腰痛症・非特異的腰痛)⇒慢性腰痛の約8割は、内臓疾患やレントゲン異常もなく、明確な原因が特定できないと言われます。その多くは、日常生活による姿勢や動作に影響を受けたり、ストレスによる筋肉の緊張や末梢血管の収縮が、疼痛を長期的なものにしていると思われます。また、画像診断の異常は必ずしも痛みの原因と結びつかない場合もあります。画像診断の異常を痛みの原因と考え、それさえ治せば症状が緩和すると考えてしまいますが、筋肉や神経、血流の障害が原因である腰痛の場合、レントゲンではわからないため、画像診断を主とした診断方法では、正確に診断できない場合があります。

  • 仙腸関節症は、骨盤のゆがみが原因でおこる腰痛です。
  • 腰部脊柱管狭窄症は、神経を入れている管が狭くなり、神経を圧迫して起こる腰痛です。
  • 変形性脊椎症は、骨トゲ(骨刺)が神経を圧迫し、炎症を起こします(高齢者に多い)。
  • 椎間板ヘルニアは、髄核が飛び出して、神経を圧迫します(働き盛りの男性に多い)。
  • 骨粗鬆症は、骨の量が減って弱く、もろくなっています(年輩の女性に多くみられます)。

腰痛の治療

薬物療法

症状に応じて、消炎鎮痛薬・筋弛緩薬などの内服薬、貼り薬や塗り薬、漢方薬などを処方します。

理学療法・リハビリ

理学療法士による理学療法、腰部の圧痛点・経穴にレーザー照射、キセノン光による温熱療法、腰背部の筋肉を刺激する高周波治療などが効果的です。

神経ブロック療法(当院における中心となる治療法)

神経ブロックは痛みを遮断すると同時に交感神経をブロックし、痛みの信号が脊髄神経に伝わらないようにするだけでなく、血管を拡張させて、痛みの悪循環を改善します。

トリガーポイント注射

圧痛点(痛みの引き金の場所=トリガーポイント)が明確な場合は、この場所に局所麻酔薬を注射することにより、一時的に痛みを感じなくし、脳への痛みの信号を遮断することで、痛みによる交感神経の興奮を抑え、血流を改善・増加させ、改善された血流で、痛み物質を洗い流し、筋肉の緊張を和らげます。

筋膜リリース注射

筋膜に局所麻酔薬を注入することにより、硬くなったり、癒着している筋膜をはがして「筋膜性疼痛」を改善する方法です。

エコーガイド下神経ブロック注射

超音波にて、神経・血管・筋肉・関節などを、リアルタイムに画像で確認しながらより正確により有効な“ブロック注射(局所麻酔薬を使用した注射)”を実施できます。

硬膜外ブロック

上記の注射で効果があまりみられない場合、硬膜外ブロックを行います。
硬膜外ブロックは、硬膜外腔という脊髄の外にある空間に局所麻酔薬を注入し、脊髄から体中に張り巡らされた末梢神経を一時的に遮断(ブロック)して、痛みをとりのぞき、血液の循環を改善することにより、病気を治す治療法です。硬膜外ブロックは、特に血管を開く作用が顕著で、内服薬や静脈注射では得られない強力な作用があります。硬膜外ブロックは、血流を改善させることにより、弱っている神経へ酸素や栄養を与え、神経が治るのを助けます。局所麻酔薬の効果は通常約2時間くらいですが、硬膜外ブロックで神経を一時的に休ませることにより、痛みを慢性化させる仕組みである「痛みの悪循環」を遮断するため、効果が持続します。

手技療法

私たちの体の関節は日常生活の中で意外と簡単に少しずつ「ずれ」が生じ、それが原因で腰などいろいろな関節の障害を起こし、「痛み」を引き起こすことが医学的に証明されています。関節アプローチ療法や関節リリース療法は、関節の動きを正常化させることにより痛みを軽減させる治療法です。手技により、「痛み」の原因となっている関節を前方や上方にゆっくり押し出すことにより、硬くなり滑らかに動かなくなっている関節を正常な状態に回復させ、関節の「ずれ」が原因で起こる痛み・痺れ・関節の運動障害を改善します。

関節リリース療法

神経ブロックなどの注射で筋肉をゆるめ血行を良くしたあと、手技でさらに関節の動きを良くします。注射と併用してこの手技で関節の動きを正常にすることにより、関節が原因で起こる痛みやしびれを軽減します。

関節アプローチ療法

関節の動きを正常化させることにより、痛みを軽減する手技療法です。
痛みの原因となる関節を手技により正常な状態に回復し、関節が原因で起こる痛みやしびれを取り除き、関節の運動障害を改善します。

遠絡療法(ENRAC療法)

体の二点を同時に押すことにより、元のきれいな生体の流れを取り戻し、人間が本来持つ治癒力を有効に引き出します。生体の流れを良くすることで、身体の痛み・重み・しびれを取り除く治療法です。肛門痛や陰部痛など特殊の痛みにも非常に有効です。

整膚療法

整膚とは皮膚を整え、血行・リンパの流れを良くし、筋肉・内臓・自律神経に良い影響を与える優しいマッサージです。病気の改善やリラクゼーション、健康維持に役立つ手技療法です。皮膚を優しく手指で気持ちよくつまんで引っ張ることで皮下組織が陰圧状態になり、血液やリンパの流れを良くして老廃物を洗い流す治療法です。

アロマトリートメント

アロマオイルを使用したトリートメントにより心と身体を癒し、ストレスで緊張した神経と筋肉をリラックスさせます。リンパの流れを良くすると共に自律神経のバランスを整え、免疫力を高め、筋肉のこわばりを緩めます。

心理療法

長引く腰痛や原因不明の腰痛には認知行動療法が非常に有効です。

認知行動療法

「どんな時に痛んだり不安になったりしてその時どう考えたか」、「どんな時に調子よくてその時どう考えたか」など、認知(ものごとの考え方)の歪みを修正して合理的な考え方が出来るように練習することで不安や痛みを軽減します。かたよった思考パターンを正しくしていく治療法です。悲観的思考パターンを健全な前向き思考パターンと比較し、考え方の多様性を知り楽観的思考に傾くように導きます。

「腰痛」の症例1

1来院までの経緯 (56歳 女性)

3年前、介護ヘルパーの仕事中、腰を捻りぎっくり腰になった。腰に激痛が発生し、整形外科を受診し、レントゲン上、特に異常なく鎮痛剤と湿布を処方されたが、その後も腰の痛みはとれず、牽引や整体など色々試してきたが、改善が見られず、最近また腰に強い痛みを感じ動けなくなった。

2治療経過

初診時は、ゆっくり歩くことしか出来ずイスに座るのも辛そうで「仕事も休めないのでこの激痛を何とかして欲しい」と切実な思いを訴えられていました。硬膜外ブロック注射を週1回約1ヶ月間実施した結果、嘘のように腰の激痛や長年の重だるさがなくなり、これで仕事も続けれると喜んで頂きました。

3考察

ぎっくり腰は正しい初期治療を誤ってしまうと慢性の腰痛症になりかねません。急性腰痛の初期治療には椎間関節ブロックやトリガーポイント注射が非常に有効で、仙腸関節の捻れを取り除く関節アプローチ療法も効果的です。慢性化してしまった腰痛には硬膜外ブロック注射が大きな効果を示します。“長年の腰痛が約1~2ヶ月の硬膜外ブロック治療で治る”という信じがたい症例がペインクリニックではそう珍しい話ではありません。

「腰痛」の症例2

1来院までの経緯 (68歳 男性)

歴史散策が趣味だったが、5年前から腰が痛く下肢のしびれがあり、整形外科で骨に異常なく坐骨神経痛と診断された。鎮痛剤処方で痛みは改善せず、3年前10分歩くと足が痛み歩けない間欠跛行(かんけつはこう)の症状も加わり、総合病院で腰部脊柱管狭窄症と診断された。通院したが症状に変化なく手術を勧められ迷っていたところ、家族の紹介で来院された。
5年間整骨院やカイロ等どこに行っても症状が改善せず、医療に対する不信感もあり趣味も出来ず気力もなくされていた。

2治療経過

初診時、硬膜外ブロック注射と関節アプローチ療法を併用し、どんな治療でも治らないのではという不安を和らげるため当院心療内科のカウンセリングも同時に行いながら、2ヶ月治療を実施したところどこに行っても改善しなかった腰の痛みとしびれが軽快したと喜んで頂き、趣味復帰に向け継続治療されています。

3考察

慢性の腰痛は、レントゲンで関節異常がわからず、骨の変性と痛みの原因も必ずしも一致しないため、画像診断主体の治療では効果がみられないことが多く、慢性痛によくみられる痛みの悪循環を断ち切る硬膜外ブロック療法や関節機能を矯正する関節アプローチ療法が非常に有効です。又、痛みと心の関係は密接で痛みに大きく影響されている心を含めた治療が必要となります。

「腰痛」の症例3 理学療法の腰痛の症例です。

1来院までの経緯 (72歳 男性)

慢性の腰痛で悩んでいて、常に腰が重だるく板のように張っている。特に歩行時や前かがみになると強い痛みが生じる。当院で神経ブロック療法をされているが、理学療法も併用したいとのことで希望された。

2治療経過

腰の筋緊張をとり緩めるための腰~下肢へのリラクゼーションや腰と密接な関連がある股関節や膝の可動域を広げ曲げ伸ばしするストレッチを行います。又、仙腸関節を動かし、体の軸調整・全身調整を行いながら、腰・下肢に抵抗をかける筋トレや家での運動指導、などを数回に分け施術したところ、
①体が軽くなって動き易くなった、
②気持ち良くリラクゼーション効果もある、
③保険適用なのも嬉しい、
と喜んで頂いた。1回10分の施術で2~3回でも効果はあるが効果持続や再発予防のために10回1セットで行っています。

3考察

慢性腰痛の約8割は、明確な原因が特定できない非特異的腰痛と言われ、その多くは日常生活による姿勢や動作に影響を受けており、ストレスによる筋肉の緊張や末梢血管の収縮が疼痛を持続的なものにしていると言われます。そのため理学療法による手技療法は大きな効果が期待できます。

「腰痛」の症例4 関節アプローチ療法の腰痛の症例です。

1来院までの経緯 (67歳 男性)

数年前ぎっくり腰になり整形で湿布処方され、ましになったがその後も年に数回ぎっくり腰を繰り返す。
今では常時激しい腰痛やしびれに悩まされ、病院で腰椎椎間板へルニアと診断され手術を勧められた。他に手段がないかと調べ、関節アプローチ療法を知り来院された。

2治療経過

関節アプローチ療法は専門医がほんのわずかな手の動きで関節の動きを改善することにより痛みやしびれを軽減する治療です。治療自体は痛みを感じず触っているだけのように感じる方が多いと知り安心された。実際施術すると長年悩みの痛みやしびれが関節アプローチ療法で改善されたので、痛みの原因が腰椎椎間板ヘルニアでなく仙腸関節の異常であることがわかりびっくりされた。

3考察

このように関節障害はレントゲンではわからないため画像診断を主とした今までの診断方法では痛みやしびれの原因を正確に診断できない場合があります。多くの方は画像診断の異常を痛みの原因と考えそれを治せば症状が緩和すると考えてしまいます。しかし、画像診断の異常は必ずしも痛みの原因と結びつかず腰痛の大半は関節障害の関与が考えられます。

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