不眠症

不眠症とは?

不眠症とは、健康を維持するために必要な睡眠が量的または質的に不足することで、社会生活に支障をきたし、自覚的にも悩んでいる状態のことをいいます。
痛みが原因で不眠となることがあり、この場合は痛みの治療を優先しなければなりません。しかし痛みが改善してからも不眠が残ることがあり、生活の質を向上するために、適切な不眠治療を要することもあります。

不眠症は病気です

不眠症で悩んでいる人は、日本人の5人に1人と言われます。短期不眠は、大半が一時的で、その原因が判明すれば解決します。しかし、「寝つきが悪い」「夜中に何度も目が覚める」「朝早く目が覚める」「熟睡できない」という症状が、週二回以上かつ1ヶ月以上続き本人が苦痛を感じている場合は不眠症と判断されます。不眠症には、内科疾患(喘息・心不全等)や精神科疾患(うつ病・不安障害等)が背後に隠れている場合があります。又、不眠症は、本人の苦しみが非常に大きい病気です。それゆえに周りのケアも重要になってきます。不眠症かなと思ったら、是非、当院(精神科・心療内科)を受診して下さい。

不眠症の症状と種類

1入眠障害

寝つきが悪くなかなか眠れない、寝つきに30分~1時間以上かかる場合とされ、不眠症の中で一番多いタイプ。

2中途覚醒

朝起きる時間までに、夜中に何度も目が覚めるタイプ。裏に他の病気が隠れていることが多い。

3早朝覚醒

朝早く目覚めてしまい、再度眠ることが出来ない。不眠症の中で最も少ないタイプ。

4熟睡障害

「よく寝た」という感触が得られず昼に眠くてたまらないため本人にはかなりきつい。

不眠症の原因

不眠症には、下記のような様々な原因がありますが、最近、特に不眠症の人が増えているのは、現代のストレス社会や昼夜を無視した24時間社会などによるものと言われています。つまり、不眠症は、現代特有の病気の一つといえます。

1体の不調

咳や喘息、睡眠時無呼吸症候群など。

2環境変化

旅行による時差や暑さ・騒音・明るさなど。

3精神的ストレス

ストレスによる悩みやイライラ・過緊張。

4心の病気

不安症・うつ病などの精神疾患。

5薬やアルコール

薬やアルコールやカフェインの摂取。

不眠症の治療法

薬物治療

睡眠薬を服用するのが最も有効です。かつての睡眠薬には「癖になる・怖い」というイメージを持つ方も多いですが、現在では、脳神経の興奮を抑えることで自然な眠りを誘う作用を持ち、依存性もほとんどない、安全な睡眠薬が開発されたので、医師の処方通り、服用すれば安心です。

薬における眠気の副作用も、慢性疼痛による二次性不眠に対して上手に使えば、有益な効果となります。結果として、余分な睡眠薬を増やさずに済むので、是非、お試し下さい。

神経ブロック療法

●頚部神経節ブロック(星状神経節ブロック・上頚神経節ブロック)療法
頚部の交感神経は、頚部に上・中・下の3ヶ所存在し、このどれかの神経節に局所麻酔薬を注入することを頚部神経節ブロックといいます。頚部神経節ブロックは、脳動脈から各脳神経にいたる多くの血管を拡張させる作用があります。自律神経・免疫・内分泌の中枢である脳幹部(視床下部や延髄)の機能を正常にするので、体全体の自然治癒力を高め、不眠に非常に有効です。
①星状神経節ブロック
頚部の一番下の神経節である星状神経節に注射するのが星状神経節ブロックで、特に、頭・顔・肩・上肢・胸部・心臓・肺・気管支などの血行を改善し不眠などの症状を和らげます。
②上頚神経節ブロック
最も頭側にある神経節の上頚神経節に注射するのが上頚神経節ブロックで、特に顔・頭部の血流を改善し不眠などの症状を和らげます。

リハビリ(理学療法・物理療法)

●レーザー治療
頚部にある神経節(頭・顔・首・肩・上肢・胸部を支配する自律神経のツボ)にレーザー光を照射することで不眠を改善します。頚部神経節ブロック(星状神経節ブロック・上頚神経節ブロック)に近い効果が得られます。注射が苦手な方にお勧めです。

手技療法

手技療法により、快眠に欠かせない心身のリラックスを行います。

●遠絡療法(ENRAC療法)
体の二点を同時に押すことにより、元のきれいな生体の流れを取り戻し、人間が本来持つ治癒力を有効に引き出します。また、生体の流れを良くすることで、自律神経のバランスを調整し、不眠を改善します。
●アロマセラピー
アロマオイルを使用したトリートメントにより心と身体を癒し、ストレスで緊張した神経と筋肉をリラックスさせます。リンパの流れを良くすると共に自律神経のバランスを整え、免疫力を高め、不眠を緩和します。

睡眠指導

生活習慣や睡眠環境などの改善を行います。不眠の訴えがあっても、当院では、必ずしも全ての患者様に薬処方するとは限りません。睡眠リズムがずれている場合、まずは一定時刻の起床と朝に日光に当たる指導から開始します。詳しく睡眠状況を確認し、睡眠に関する話し合いを行うことで、薬を処方せずに、不眠の悩みから解放されるケースが多いです。

 

※不眠症を改善すると、糖尿病や高血圧も改善したというデータもあり、不眠と体の不調は密接な関係があります。我慢せず、受診しましょう。

良質な睡眠を確保するために知っていると役立つこと

定期的な運動

なるべく運動のスケジュールを入れましょう。運動すれば寝つきが良くなったり、睡眠が深くなる可能性があります。ただし寝る直前の運動は避けましょう。

寝室環境

快適で騒音のない睡眠環境が理想です。寝室を快適な温度に保ちましょう。暑すぎたり寒すぎたりすれば、睡眠の妨げとなります。

規則正しい食生活

規則正しい食生活をして、すきっ腹で寝ないようにしましょう。空腹で寝ると睡眠は妨げられます。但し、睡眠直前の脂っこいものや重い食べ物は避けましょう。

就寝前のお酒

眠るための飲酒は逆効果です。アルコールを飲むと一時的に寝つきが良くなりますが、徐々に効果は弱まり、夜中に目が覚めやすくなってしまいます。また就寝前4時間以内のカフェイン摂取は、寝つきにくくなったり、夜中に目が覚めやすくなったり、睡眠が浅くなったりします。

就寝前の喫煙

夜は喫煙を避けましょう。ニコチンには精神刺激作用があります。

寝床での考え事

自分の問題に取り組んだり、翌日の行動について計画したりするのは翌日にしましょう。心配した状態では、寝つくのが難しくなるし、寝ても浅い眠りになってしまいます。

心療内科における不眠治療

不眠症の第一アプローチ『睡眠指導』

不眠の訴えがあっても、当院では、必ずしも全ての患者様に薬を処方するとは限りません。例えば睡眠リズムが後ろにずれていることで寝つきが悪くなっている時は、まずは一定時刻の起床と朝に日光に当たる指導から開始します。又、詳しく睡眠状況を確認すると実は十分に睡眠は取れていて本人の寝たいと思う時間が長すぎることもあります。このような場合、睡眠に関する話し合いを行うことで、薬を処方せずに、不眠の悩みから解放されるケースが多いです。

不眠症の第二アプローチ『薬物療法』 

1薬処方の場合もすべて睡眠薬を処方するわけではなく、症状により睡眠薬以外の薬を処方することがあります。

例えば
①うつ症状に不眠が合併している時は抗うつ薬
②夜中に足がムズムズして寝にくい時
③睡眠中寝言が大きく激しく動いている時
などそれぞれに合った薬を不眠治療に使用します。

2日本で最も睡眠薬として処方されているベンゾジアゼピン系睡眠薬は血中の薬の成分が減るスピードにより次に分類。

Ⅰ超短時間・短時間作用型⇒寝つきが悪い不眠症に有効
Ⅱ中間・長時間作用型⇒途中何度も目が覚める不眠症や朝早くに目が覚める不眠症に有効

3睡眠薬治療は基本は1剤ですが不眠の種類が複合する場合、2剤使用することにより効果を発揮することもあります。

4昔の睡眠薬に比べ安全性は格段に高くなっていますので安心して使用して頂けますが、ふらつきの副作用には注意が必要です。服用後には色々な用事をしたり、お風呂に入ったりせず、布団に入るよう心がけ、お酒との併用は禁物です。

5以上のことから患者様がどのような症状の不眠症であるかを正しく診断・治療できる医師にかかることが最も重要です

不眠性の症例

Aさん:夜12時に布団に入るが、目がさえて4時まで眠れない。7時に無理やり起きて学校に行くが、めまい、ふらつき、頭痛がある。休日は11時まで寝ている。
Bさん:早く寝たいので夜8時に睡眠薬を飲んでいるが、なかなかすぐには眠れない。朝7時まで寝ていたいのに、4時に目が覚めて、そこから先が眠れない。
AさんBさんも、睡眠リズムがずれていたり、体が必要としている睡眠時間と実際の睡眠時間(希望する睡眠時間)との間にギャップがある。
<Aさんの解決法>
つらいけど、毎朝決まった時間にがんばって起き続けましょう。そして朝の太陽の光を浴びましょう。朝の光は体内リズムを修正してくれます。不規則な生活、夜更かしをしないよう努力しましょう。続けることで症状が軽くなることがあります。
<Bさんの解決法>
希望の起床時間を決めましょう。そこから6~7時間引いた時間が最適な就寝時間です。その時間までがんばって起きてみましょう。どうしても早く寝てしまう場合には、寝てから6時間後に目覚めても、そのようなものかなと思うようにしましょう。
当院ではこれらの睡眠指導を実施しています。

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