術後疼痛

術後疼痛とは

手術をしたら切ったところが痛みます。でも手術の傷が治り痛みの原因が消滅したにも関わらず、痛みがいつまでも消滅しない、又は逆に増大していく場合を術後疼痛と言います。
これは手術により神経を切断することにより切断部位の神経から脊髄へ異常興奮の信号を送り脊髄が脳へ間違って痛み信号を送り続けることにより生じます。又、術後疼痛やそれに伴う可動域制限が意欲を低下させうつ状態を引き起こし、今度はうつ状態が疼痛を増悪させるという悪循環が生じます。

術後疼痛の治療法

術後疼痛にはいわゆる鎮静剤といわれる薬が効きません。有効な治療法は下記の通りです。

神経ブロック療法

神経の異常興奮に交感神経が関与している場合、神経ブロック療法が非常に有効です。
硬膜外ブロックは局所の交感神経を遮断する作用があるので有効かつ安全な治療法です。体性痛の成分をブロックする作用もあるので、術後早期の急性痛の時期から有用です。胸部から上位の疼痛には星状神経節ブロックが効果的です。

リハビリ(理学療法・物理療法)

術後疼痛には、手術で体表面や皮下組織が固くなり血液やリンパの流れが悪くなり、冷えを伴って起こる痛みや筋肉が弱くなり生じる関節痛があります。術後の可動域訓練や血流改善のため理学療法士による理学療法や物理療法などによるリハビリが有効です

心療内科的治療

術後疼痛→うつ状態→長引く術後疼痛という悪循環を断つためには、心療内科的な治療が有効です。

薬物療法

専門医によるカウンセリングや内服薬、特に抗うつ薬は術後疼痛に有用な内服薬です。脳内の疼痛抑制系の機能が低下して術後疼痛が生じると考えられており、抗うつ薬にはこの鎮痛機序を賦活させる作用があります。抗うつ薬が効かない場合は抗てんかん薬が有効な場合もあります。慢性化・難治化した術後疼痛は心因的要素が強いことを理解することが最重要ですので、まずは専門医の受診をお勧めします。

心理療法

●認知行動療法
「どんな時に痛んだり不安になったりしてその時どう考えたか」、「どんな時に調子よくてその時どう考えたか」など、認知(ものごとの考え方)の歪みを修正して合理的な考え方が出来るように練習することで不安や痛みを軽減します。かたよった思考パターンを正しくしていく治療法です。悲観的思考パターンを健全な前向き思考パターンと比較し、考え方の多様性を知り楽観的思考に傾くように導きます。
※術後疼痛は、神経ブロック療法に加え、心理療法などの心療内科的治療や理学療法・リハビリ・手技療法などの多面的アプローチが必要となります。当院では各科が速やかに連携を取れるシステムを組み疼痛緩和に取り組んでおります。術後、痛いのは仕方がないとあきらめず、当院へご来院下さい。

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