肩関節周囲炎(四十肩・五十肩)・腕・肘・手痛

肩関節周囲炎(四十肩・五十肩)

『肩関節周囲炎』とは、一般的に四十肩・五十肩とも呼ばれ、主に壮年期以降に肩関節の痛みと運動障害を伴う病気の総称です。肩関節とその周辺組織の退行変性(加齢による筋力の低下と衰え)による炎症が原因と考えられています。症状としては、急性期では、安静時の疼痛や運動時の激痛を感じ、特に夜間痛が激しく、睡眠障害なども生じることがあります。慢性期では、炎症がおさまり、安静時の疼痛は消失し運動時の痛みは軽くなりますが、運動制限(可動域制限)が顕著になります。特に、腕を上にあげたり、手を後ろに回すことができにくくなり、日常生活に支障をきたします。
治療を怠ると、治癒までに長期間を要し、後遺症(肩が固まって機能障害を残したまま回復しない状態)が残る場合もあります。早期診断・早期治療が大切です。

肩関節周囲炎(四十肩・五十肩)の治療

薬物療法

炎症や痛みを抑える消炎鎮痛剤や抗炎症薬、筋肉の緊張を和らげる筋弛緩薬、末梢神経の働きを正常にする末梢循環改善剤、湿布や塗り薬などを処方します。

神経ブロック療法

●肩甲上神経ブロック、トリガーポイント注射
肩や上肢の痛みがある部位に局所麻酔薬を注射することにより、痛みの悪循環を改善します。硬膜外ブロックや星状神経節ブロックより比較的浅い神経に注射するため、通常の予防注射などと同様に気軽に受けて頂くことが可能です。
●肩関節内注射
肩関節内に炎症を抑える副腎皮質ホルモンと局所麻酔薬の混合液、又は、ヒアルロン酸ナトリウムを注射し、疼痛を和らげます。
●エコーガイド下神経ブロック注射
超音波にて、神経・血管・筋肉・関節などを、リアルタイムに画像で確認しながらより正確により有効な“ブロック注射(局所麻酔薬を使用した注射)”を実施できます。

リハビリ(理学療法・物理療法)

理学療法士による関節の可動域改善などの理学療法、キセノン光による温熱療法、関節の圧痛点・経穴にレーザー照射やSSP(針治療と同様効果)、高周波(筋肉収縮)などの物理療法が有効です。

手技療法

肩関節の動きを正常にする関節リリース療法や関節アプローチ療法、生体の流れを正常にする遠絡療法などの東洋医学も効果的です。

●関節リリース療法
神経ブロックなどの注射で筋肉をゆるめ血行を良くしたあと、手技でさらに関節の動きを良くします。注射と併用してこの手技で関節の動きを正常にすることにより、関節が原因で起こる痛みやしびれを軽減します。
●関節アプローチ療法
関節の動きを正常化させることにより、痛みを軽減する手技療法です。
痛みの原因となる関節を手技により正常な状態に回復し、関節が原因で起こる痛みやしびれを取り除き、関節の運動障害を改善します。

運動療法他

肩関節の可動域改善訓練や肩の体操(ダンベル体操)、入浴中・入浴直後の運動、肩の保温(サポーター等)が有効。

手首指痛の症例①

1来院までの経緯  (52歳 女性)

長年ピアノ講師をしていて手首と指に痛みが発生。整形外科でのレントゲン検査に異常なく、痛み止めを処方された。しかし、最近では手首を反らしたり、親指を動かすと激痛が走る。手に力が入らず包丁も持てないため日常生活に支障が出てきた。大学病院で手術しかないと言われ途方に暮れてネットで調べ来院された。

2治療経過

手首や指の痛みは当院のメインの治療法である神経ブロック療法が適応でないため関節アプローチ療法が最も効果を発揮する治療となります。手首と指の関節機能障害が痛みの原因と考え、関節アプローチ療法を実施したところ初回治療後から大きな改善が見られた。2カ月の治療で手術することなく症状が緩和し喜ばれた。
長年の肩こりからも解消されたと喜んで頂き、継続治療されてます。

3考察

当院には手術が必要と診断された方でも手術をしないで痛みが軽減されている場合があります。なかなか良くならないと手術をすれば治ると考えてしまいがちです。画像診断上の「異常」を「正常」にすることが必ずしも痛みの症状を完治するとは限りません。関節機能障害が原因の場合、手術をしても痛みやしびれが良くなることは期待できません。
まずは、手術の前に診断を兼ねて関節アプローチ療法を実施することをお勧めします。ぜひ、一度ご相談下さい。

手首指痛の症例②

1.手指がうまく動かせない 〜作業療法編〜

1来院までの経緯  (65歳 女性)

右上肢に帯状疱疹後神経痛を発症。それに伴い、右手の第3関節(指と掌をつなぐ関節)が曲がりにくく物をつまんだり出来なくなった。利き手なので、お箸を持ったり服を着替えたりすることが困難で字も書けず非常に困られていた。

2治療経過

上肢の帯状疱疹後神経痛の治療として、注射と投薬を併用しながら、手指の作業療法を開始しました。

週2回、1回につき20分の下記の作業療法を実施しました。

①痛みにより使わず弱ってしまった手指の筋力を作業療法士が動かし、様々な運動療法を行うことで筋力を回復する。

②作業療法士が手技で硬くなっている手指の緊張を和らげ、血流を改善するためにストレッチを行う。

③効果持続と再発予防に自宅でできる自主訓練を指導。

3考察

作業療法士は主に「首・肩・上肢・手指」の手技療法を行います。

特に「手指」の手技療法は作業療法士のみが実施することができます。

当院では、従来の理学療法士の他に、新たに、作業療法士が加わり、手指の手技療法が可能となりました。

手指の症状でお困りの方は、ぜひ、スタッフにお声かけください。

手首指痛の症例③

1.手指に力が入らない 〜作業療法編〜

 

1来院までの経緯  (73歳 女性)

左前腕骨折の治療のため長期に安静にしていたので、

手指を使う機会が少なく動かさないことで両手指の第1・2関節が曲がらなくなり力が入らず日常生活が不便で来院された。 

2治療経過

病気やケガのためにベッドなどで長期間安静にしていることで特定の器官に障害が起こることを"廃用症候群"と言います。

特に、高齢者の方の場合、体力が落ちると活動性が低下し、思うように動けなくなります。

今回は前腕の骨折により手指に障害が起こったので、週3回、1回につき20分の下記の作業療法を実施しました。

①作業療法士が手技により硬くなっている関節をゆるめ、手関節の可動域を改善する。

②癒着している腱や靭帯を作業療法士が手技によるストレッチでゆるめる。

③効果持続と再発防止のために、自宅でできる手関節の可動域訓練、腱や靭帯の運動療法を指導。

3考察

手指の症状でお悩みの場合、作業療法士による手技が非常に効果的です。

主な効果は次の通りです。お試し下さい。

①手関節の可動域の改善

②手指の筋力の回復

③癒着している手指の腱や靭帯をゆるめる

④手指の筋緊張和・血流改善

⑤自主訓練を指導

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