1. 痛みの役割
①「体の異常」を知らせる役割
慢性痛の方は、‘いつまでこの痛みは続くのだろう?’や‘この痛みはもう治らないのではないか?’という考えが、特に、痛みが強まる時に浮かび、不安・怒り・恐怖などの気持ちが強まるという話をよく聞きます。
このようなマイナスの感情をもたらす‘痛み’の役割は何でしょうか?
一般的に思い浮かぶのは「体の異常を知らせる役割」と思います。
痛みが「体の異常を知らせる役割」と考えれば、痛みを感じた部位の専門の診療科を受診して、その診療科で何らかの異常が見つかり、治療して治癒すれば「痛み」の役割は大成功です。
しかし、慢性痛が続く方の中には、その痛みを感じる部位に異常がない、その痛みの強さに見合う問題がない方がいます。
じつは、‘痛み’はそれほど精密な感覚ではないのです。
「癌のように重篤な病気でも痛くない」こともあれば、「どこも異常がなくても痛い」ということがあります。