クリニック通信ブログ

2012.10.04更新

1.帯状疱疹・帯状疱疹後神経痛とは?

神経に沿い帯状に発疹・水泡がでる帯状疱疹(日本人の6人に1人がかかると言われる)はストレス等で免疫力が低下した時に過去に感染した水疱瘡ウィルスが活発になって発症します。症状が長引いた場合や高齢者の場合は、皮膚症状が治った後も帯状疱疹後神経痛として慢性の痛みが数年~一生続くことがあります。
帯状疱疹後神経痛は激痛(焼けるような痛みや電気が走るような痛み)が持続する難治性疼痛の一つと言われ、外傷が見られないため周囲に痛みが理解されず、患者のQOL(生活の質)は大きく低下します。
帯状疱疹後神経痛にならないためには、早期発見・早期治療が大切です。
2.帯状疱疹の治療
帯状疱疹の治療では、抗ウィルス剤を用いた治療とともに神経ブロック療法を行い、急性期から痛みを十分にコントロールすることが重要です。局所麻酔薬で一時的に神経を休ませ、痛みの悪循環を遮断する神経ブロック療法は、発疹や水泡の治癒を早め、帯状疱疹後神経痛への移行を防止するのに非常に有効です。神経損傷によって帯状疱疹後神経痛にいたると痛みの除去が困難であるため、帯状疱疹発症後、2週間~1カ月以内に神経ブロック療法を開始すれば帯状疱疹後神経痛への移行を防ぐことができます
3.帯状疱疹後神経痛の最新治療
帯状疱疹後神経痛の従来の治療法は、抗うつ薬や鎮痛剤、神経ブロック療法、レーザー治療、イオントフォレーシス、鍼灸治療など、人によって違う症状や程度に合わせ治療法をきめ細かく選択して行われますが、それでも完全な除痛に至らない場合もあります。しかし、最近、承認された新薬「リリカ」は従来の鎮痛薬とは全く異なる新しい作用の薬剤で、既存の治療法で痛みを取りきれない場合にも大きな効果が期待できます。帯状疱疹後神経痛は、脳内の痛みを伝える神経伝達物質の過剰放出によって疼痛が引き起こされており、「リリカ」はこの過剰に興奮した神経伝達物質の放出を抑制し大きな鎮痛作用を発揮します。その証拠に「リリカ」は2010年4月現在、世界105の国と地域で承認され国際疼痛学会で帯状疱疹後神経痛の第一選択薬として位置づけられています。その他、全身に我慢できない程の痛みやしびれを引き起こす繊維筋痛症などの末梢神経障害性疼痛の適応薬としても申請中であり、「リリカ」は痛みの軽減に寄与できる有用性の高い新たな治療の選択肢として今後幅広く使用されていくと考えられます.

4. うつ病とは?

うつ病とは、気分の落ち込みや無気力な状態が長期間回復せず日常生活に支障をきたす病気です。人は誰でも憂うつな気分になることがありますが、時間がたてば回復します。しかし、うつ状態が2週間以上続き日常生活に支障が出てくると「うつ病」です。誰もがかかる可能性があることを表して、うつ病はよく心の風邪と言われますが、風邪と違って時間がたてば自然に治る類の病ではなく、気力や体力では治りませんうつ病は早期発見と適切な治療を受ければ、ある程度時間はかかりますが必ず治る病気です。
5.うつ病の症状と原因
うつ病の症状は心と体の両方に症状が表れます。軽症の時は心の症状(気分の落ち込み、マイナス思考、やる気が出ない、頭が回らない、仕事が出来ない、症状が朝悪く夕方楽になる、自殺したくなる)よりも、体の症状(食欲低下・過食、全身のだるさ、不眠、体のどこかが慢性的に痛い、胃腸不良、耳・目が悪くなる)が目立つため、見過ごされることがあります。うつ病のサインを単なる疲れと見逃さないで下さい。これらの症状は、心が弱いからでも甘えているからでもなくストレス等によって脳内の神経伝達物質(セロトニンやノルアドレナリン)の働きが悪くなるために起こりますセロトニンやノルアドレナリンは脳の中で意欲や活力等を伝達する働きをしているため、この働きが悪くなると憂うつ感を引き起こしうつ病になるのです
6.うつ病の治療
うつ病の治療には抗うつ薬が中心に使われます。抗うつ薬は、うつ病で生じる脳内神経伝達物質のバランスの乱れを修正することによりうつ症状を改善します。現在ではうつ病に関係する部分のみに作用し副作用が少ない抗うつ薬が登場しています。また、医師と患者が繰り返し面接を行い、患者が抱える悩みや不安を取り除く精神療法やリラクゼーション療法は、考え方を少しずつ変え、柔軟性をもつようになることでうつ病を治したり、再発を予防したりします。日本は先進国の中で最も自殺率が高く、今年政府はうつ病対策を打ち出しましたが、最も問題なのは約1000万人以上いると言われるうつ病の半分以上の人が治療を受けていないことです。うつ病は治療しなければ悲惨な病気です。
うつ病のサインを感じたら専門医の受診を心がけましょう。

投稿者: 医療法人良仁会 かわたペインクリニック

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