クリニック通信ブログ

2012.10.03更新

1.歯・口・顔の痛み

原因不明の顔の痛みに悩まされたことはありませんか?
原因が明確な顔面痛は症状に応じた治療を行えば完治しますが、レントゲンや検査に異常がないのに、
①じんじんじわじわする歯痛が一日中、長期に続く非定型歯痛、
②舌の先や側縁にヒリヒリする痛みが続く舌痛症、
③舌・唇等にじりじり焼けるような痛みが続く口腔灼熱症候群、
④原因不明の顔面痛が続く非定型顔面痛等、

これらの原因不明の顔面痛は顔に関わる診療科が多いため病院を転々とし、痛みをコントロールしょうと様々な歯科治療や手術が行われ、正確な診断をしてくれる専門医に辿り着くまで平均5年かかるというデータもあります。又、検査をしても異常がないため、「気のせい」とか「大げさ」と片付けられることが多く、ますます精神的に追い込まれていきます。
2.なぜ起こるの?
これら「原因不明の痛み」は、ここ10年ほどの神経科学や脳科学の急速な進歩によって、の中の痛みをコントロールしたり認知したりするシステムに変調がおこって、脳の中で痛みが増幅されたり、勝手に作り出されているのだということがわかってきました。これら原因不明の慢性疼痛に対して、いわゆる痛み止め(鎮痛薬)は末梢神経に作用する薬であるため、脳の中でおこる痛みには効きません。安易に鎮痛薬に頼るとさらなる副作用を招く場合もありますので、注意が必要です。
3.どうしたら治るの?
これら脳の中のシステム変調でおきた痛みに対して脳に働きかける薬である「抗うつ薬・抗てんかん薬・抗不安薬」が高い効果を発揮します。
「抗うつ薬・抗てんかん薬・抗不安薬」は、一見痛みとは関係なさそうな名称で多くは「精神科で使われている薬」であるため、患者様によっては「自分はうつ病でないから」と服用に抵抗を示し勝手に服用をやめる方もいますが「抗うつ薬・抗てんかん薬・抗不安薬」により7割強の痛みが消失したとのデータも出ていますので、慢性疼痛にお悩みの方は専門医による処方をお勧めします。
しかし、一日中、痛みのことを考え続けている場合は、いくら薬を服用しても意識が痛みに集中し、神経をさらに刺激してなかなか痛みが改善しないため、痛みから意識をそらせる認知行動療法という心理アプローチからも治療が必要です。
これら内服薬や心療内科的アプローチでも痛みが改善しない場合は、星状神経節ブロックやレーザー照射、漢方薬により鎮痛効果が期待できます。

4. 認知症は早期診断・早期治療が大切!

高齢化に伴い増加している認知症は、現在約220万人(80歳以上の5人に1人)と言われます。認知症は患者様本人だけでなく介護するご家族に大きな負担がかかります。しかし、「おかしい」と気づいてから病院に行くまで約7割のご家族が2年以上かかっているとの報告もあります。認知症の中には早期発見し治療すれば"治る認知症"があります。ご家族の負担を少しでも軽くするには、年齢のせいと放置せず、予兆を感じたら、早期診断・治療を心がけましょう。
5.認知症ってどんな病気?
食事した事を覚えていない、自分の居場所がわからない...等、認識・記憶・判断する力が障害を受け、社会生活に支障をきたす状態を認知症といいます。
認知症の種類には、
①アルツハイマー型認知症(約6割)、
②脳血管性認知症(約2割)、
③治る認知症(原因となる病気を治療する事で症状が軽減する)(約2割)

等があります。
①アルツハイマー型認知症は原因不明で、脳の神経細胞が急激に減り、脳が萎縮して知能低下や人格崩壊がおこります。
②脳血管性認知症は、脳卒中(脳梗塞・脳内出血)で脳の血管が詰まり破れたりすることによりその部分の脳の働きが悪くなる病気です。
③その他の認知症はホルモン異常・肝臓病・腎臓病・ビタミン欠乏症等によるもので元の疾患を適切に治療すれば症状が軽くなります。
6.認知症の症状と治療
認知症の症状
は大きく二つに分けられ、
①中心となる症状(記憶障害・認識障害・判断力低下)、
②それに伴っておこる周辺症状(不眠・抑うつ・妄想・不安・徘徊など)

です。
認知症の中心となる症状を根本的に治療する薬は、今のところありませんが、最近アルツハイマー型認知症の進行を遅らせる薬がでてきています。また、主にご家族の負担となっている周辺症状のうちいくつかの症状は、適切な薬を使用することにより軽くなることがわかっています。また、認知症では患者様の症状に合わせた心理療法も重要な治療です。

 

投稿者: 医療法人良仁会 かわたペインクリニック

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